2024/01/01
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ボーリング調査の真の目的とは|数億円の損失を防ぎ、プロジェクトの資産価値を確定させる
建設プロジェクトの成否を分けるのは事業の計画から不確実な要素を排除し、まずは計画を確定させることではないでしょうか。
現場で最初の工程である「地質調査(ボーリング調査)」は単なる設計上の事務的な手続きではありません。ボーリング調査の真の目的は、建設前の地中リスクを明らかにし、プロジェクトを確実に進めることです。
本記事では、ボーリング調査の目的と、事業にとっての重要性を解説します。


建築実務において、なぜボーリング調査(※標準貫入試験)が不可欠なのか。それは、建物の荷重を支える地盤の性質を物理的な数値として把握するためです。
(※標準貫入試験は現在、一般的に行われている地質調査の試験ですが本来の地質調査の目的によっては見直される流れもあります)
■構造物の安全担保と法的な裏付け
戸建住宅であればSWS試験(スクリューウエイト貫入試験)などの簡易調査で済む場合もありますが、マンションやオフィスビルといった中高層のRC造(鉄筋コンクリート造)・S造(鉄骨造)建築物においては、建物の重量が大きいためボーリング調査による標準貫入試験が必須となります。
その最大の目的は支持層(建物の重さを支える地層)の特定です。数千トン、数万トンに及ぶ建物の重量を、どの深さの、どの程度の固さの層(N値)で支えるのか。これを見誤れば、法的な安全基準を満たせないばかりか、物理的に建物が自立できなくなります。ボーリング調査によって得られる「柱状図」は、地層や土質を図面化したもので地盤の硬さや支持層の有無などがわかります。
地質調査には、単に安全を守るだけでなく、建設コストを「最適化」するという重要な経済的側面もあります。
地盤の硬さや土質構成が不明瞭な場合、設計者は安全を期して過剰な設計を行わざるを得ません。例えば、支持層の深さが正確に把握できていなければ、必要以上に長い杭を計画したり、必要以上に本数を増やしたりすることになります。
ボーリング調査によって精緻なN値と土質データを得ることによって、不確定な要素を排除し、過剰な設計や工法を避けることもできます。基礎工事費を大幅に削減できる場合もあり、事業のコスト削減につながります。

地質調査を軽視してしまったり、あるいは安価でも精度の低い調査で済ませてしまった場合、次のようなリスクに直面する可能性があります。
適切な地盤調査や調査結果に応じた基礎の設計や施工が行われなかったことで発生する、もっとも懸念されるトラブルは建物の不同沈下です。
不同沈下とは、地盤の一部がゆがむことで、建物が不均一に沈下してしまう現象のことを言います。
地層の傾斜や局所的な軟弱層を見落とし、杭が支持層に確実に届いていなかった場合、建物は不均一に沈み始めます。建物に傾斜が生じることにより、荷重が集中した場所に負担がかかり、窓やドアが開かなくなったり、壁に亀裂が生じたり、最悪の場合、建物が倒壊する危険もあります。
地盤調査が不十分であったために不同沈下が起こった場合、施工業者にその責任が追及されることになります。不同沈下を防ぐために不可欠な地盤調査が適切でなかった場合はデベロッパーの信頼を失墜させるリスクにもつながります。
杭打ち工事が始まってから「予定の深さに支持層がない」ことが発覚することがあります。これは、調査地点が少なすぎたり、共有サイトのラフなデータに頼りすぎたりした場合に起こり得ることです。
支持層が見つからないとなれば、特注の杭は使い物にならず、再設計が必要になります。その間、現場に鎮座する巨大な重機や作業員、ガードマンの人件費など追加費用がかかります。1日の遅延が数百万円の損害を生む大規模現場では、数週間の工期停滞は大幅なコストがかかるリスクがあるのです。
都心の再開発現場では、かつての建物の基礎や杭、既存の地下構造物が地中に残っていることが多々あります。また、地質によって時には非常に大きな岩が地中に埋まっていたり、またはかつて川だった場所が埋め立てられていた場合、軟弱な粘土層などがある場合もあり、着工後にこれらの巨大な障害物が発見されることがあります。このような地中障害物が見つかった場合、プロジェクトに大幅な遅延が発生する可能性があります。
(ただし、基本的には調査会社側には地中障害物の発見について報告する義務はないものとされています。)

ウチヤマ地質工業は、地質調査を単なる「データの取得」とは考えていません。私たちの使命は、デベロッパーが抱えるこれらの巨大な不確実性を、技術の力でゼロにすることにあります。
開発担当者にとって時間は最大のコストです。調査が遅れれば設計が遅れ、着工が遅れ、販売時期を逸します。
私たちは、地質調査を「工期の命綱」と位置づけています。 自社班による直接施工体制と、町工場と共同開発した特注の機動力を活かし、最短2週間以内での調査開始を約束します。待ち時間をなくすことで事業の安定性を守ることが私たちの使命です。
「狭い、既存建物がある、地下室がある、崖地である」。こうした難条件を理由に、多くの業者が調査を断ったり、または調査が可能な場所での簡易的な調査で済ませる場合もあります。
しかし、掘りにくい場所にリスクが潜んでいる可能性もあります。
ウチヤマ地質工業では分解して担ぎ込める特注のボーリングマシンを駆使し、他社が搬入不可な現場にも対応しています。
調査が困難な状況下でも、正確な地質データを完遂することで、その土地の客観的なデータを示し建築の可能性を広げることができるのです。

ウチヤマ地質工業の技術力は日常の業務のためのみならず、高い志に裏打ちされています。
現在、一般的なマンション開発における調査深度は30mから50m程度がボリュームゾーンです。しかし、ウチヤマでは常に60m〜70m級の深掘りに対応できる体制を整え、その技術研鑽を怠りません。
オーバースペックとも思える深度にこだわるのは理由があります。
実はウチヤマ地質工業は人類の未踏領域を探る地球深部探査船「ちきゅう」での地質調査を任務として行うことをめざしています。
将来『ちきゅう』に乗って世界最高峰のプロジェクトに参画するためにも、日常からその水準を追求しているのです。
●地球深部探査船「ちきゅう」とは
地球深部探査船「ちきゅう」は、国際深海科学掘削計画の主力船として地球探査を行っています。地球の内部を掘り進み、巨大地震発生のしくみや地球規模の環境変動、地球内部エネルギーに支えられた地下生命圏、さらには新しい海底資源の解明など様々な成果をあげている科学調査船です。
数千メートルの深海下を掘削し、地球の内部に触れる壮大な目標があるからこそ、私たちは都心で行っている調査業務も妥協を許さず取り組んでいます。
「ちきゅう」に乗るためには、いかなる過酷な環境下でも安定して高精度なデータを取得し続ける必要があります。
この世界水準に向けて生まれる高い技術力が、結果として絶対的な安心・安全な地質調査にもつながると考えています。

見えない地中の地盤リスクを完璧に把握するための精密なデータをお渡しすることが地質調査という仕事の本質だと考えています。
不十分な調査で事業をスタートさせることは大きなリスクを背負うことになり得ます。
私たちの技術は、都心のビル群から、いずれは地球の深淵へ。地球深部探査船「ちきゅう」でのプロジェクト参画を見据え、今日も目の前の1mを究めています。
地質調査を単なる「コスト」としてではなく、プロジェクトの未来を確定させるための投資と捉える。ウチヤマ地質工業は事業に並走するパートナーとして建設プロジェクトの基礎を支えます。
