ビルを解体する前の地質調査|都心に多い建物内ボーリング調査で求められる技術と対応力

2026/10/30
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都心の開発プロジェクトにおいて、スケジュール管理はまさに時間との戦いです。大規模再開発や都市部の建て替え計画で担当者が抱える悩みは、物理的な制約と工期の間で板挟みになることではないでしょうか。

そのような状況下で、解体工事が完全に終わって更地になってから地質調査を開始するのはますます難しくなっています。プロジェクトを数ヶ月単位で遅延させるリスクを抱えることになるからです。

特にスケジュールがタイトな都心の案件では、解体前の建物内での地質調査が必要となる場合があります。

ウチヤマ地質工業ではそのようなご要望にもお応えするための技術と体制が整っています。

たとえば、他社が「機械が入らない」「搬入経路がない」と断る現場であっても、私たちは「分解・人力搬入・若手の機動力」により、調査を完遂しています。

本記事では、なぜ今、都心の現場で「建物内でのボーリング調査」が求められているのか、そして、どのようなスキルや対応力が求められているのかについて詳しく解説します。

1.都心のプロジェクトで建物内ボーリング調査が多い理由

東京都内での建設プロジェクトのタイトなスケジュールの背景には、現在、急速に都市再生プロジェクトが進められている点があります。

2002年の「都市再生特別措置法」制定により、民間事業者の力を活用して都市再生緊急整備地域の整備が進められてきました。

すでに完成済みの建物を見てもわかるように、昭和〜平成初期に建てられたビル群があったところに、新たなスケールの建築物が次々と建てられており、都市再生特別措置法以降、都内の都市開発が積極的に進められています。

近年の都市再生プロジェクトの特徴としては、工場跡地や公共所有地の土地利用転換といった事業が減少し、中小ビル等の用地を利用し再開発・区画整理を行う手法が増えています。

例えば「虎ノ門一丁目東地区再開発事業」のように中小ビルがあったところを再開発するといったプロジェクトです。

(参照:国土交通省都市局「都市再生プロジェクトの展開について」https://www.mlit.go.jp/toshi/content/001859128.pdf)

もともとビルがあった場所を再開発するプロジェクトが増加している都心特有の状況では、建物内ボーリング調査はプロジェクトの工期を戦略的に短縮し、事業採算性を高めるために必要な判断といえるでしょう。

それでは現在、多くのデベロッパーから建物内のボーリング調査のご依頼をいただいている理由と実際の事例をご紹介します。

■理由①ビル解体前の売却案件の増加

かつては建物を解体して更地にした状態で土地を売るのが一般的でした。しかし現在では、建物が建ったままの状態で売りに出され、買い付けされるケースが増えています。

その結果、買い付け後に建物がある状態で地盤調査を行うケースも増加しています。

■理由②:工期の前倒し需要(クロス作業・相番作業)

都心の開発用地は、土地取得から着工までの時間が極めて限定されています。解体業者と並行して作業(クロス作業・相番作業)を行い、建物が残っている段階からボーリング調査を開始すれば、更地になるのを待つ時間はゼロになります。

更地を待ってから地盤データを取り、そこから基礎設計を始めるのではなく、解体中に並行して地盤データを確定させることができれば、基礎設計を最短で走らせ、着工までのリードタイムを劇的に短縮することができます。

■理由③:事業継続と建て替え準備の両立

実際の事例として、相撲部屋の建て替えに伴うマンション建設計画において、非常にタイトな調整を行ったケースがあります。発注者様からは、「新しい建物のための地盤調査は進めておきたいが、現在の施設は解体するギリギリまで使い続けたい」という強い要望がありました。

このように、事業を継続しながら次のステップへスムーズに移行するためには、使用中の建物内に機械を運び込み、調査を行う技術が必須となります。このような「特殊で狭い環境」では、大型の調査機械は入ることができません。ここでウチヤマ地質工業の「分解・人力搬入技術」が、プロジェクト成功の決定打となりました。

■理由④:土地取得前の早期リスクの確認

デベロッパーが数億円規模の土地を取得する前段階で、「見えない地中リスク(埋設物や軟弱地盤)」を洗い出したいというケースも増えています。建物が建っている段階で調査に入れば、売買契約の稟議を通すための決定的なデータをいち早く入手できます。不確実性を排除した状態で買い付けの意思決定ができるため、ビジネスのスピードが格段に上がります。

2.建物内でのボーリング調査特有の難しさとは

一方で、建物内での調査には通常の現場にはない技術的な難しさがあるのも事実です。これらをクリアできる体制が整っていなければ、調査そのものが不可能になります。

  • 機械搬入が困難: 通常の調査機械は小型トラック1台分ほどのスペースを必要とします。建物内では、エレベーター、階段、狭い開口部のみが通路となり、クレーンによる搬入も難しくなります。
  • 周辺の環境への配慮が必要: 天井高の制限がある地下室や、稼働中のオフィスビルでは、低騒音・低振動・無粉塵という高い環境性能が求められます。周囲に迷惑をかけず、かつ調査の精度を落とさない緻密な施工計画が不可欠です。

3.地下室の掘削時に発生しやすいリスクと対策

 地下室など深い位置からの掘削時に最も注意が必要なのが、地中の「被圧地下水」です。

被圧地下水とは上下を不透水層に挟まれた水のことで、密度の高い不透水層で挟まれています。

(参照:https://www.zeolite.co.jp/column/3997/)

屋内のボーリング調査時には、高い水圧がかかった層を突き破った際に掘削孔から室内に水が噴出する危険があります。

そのため、室内に流入してくる地下水を止水する対策が必要になります。止水の対策としては、耐圧盤に止水管を設置したり、耐圧盤にボーリングマシンで穴を開け、一時的に地下室内に地下水を流入させて終了後にポンプで排水する方法などがあります。

(参照:https://www.zenchiren.or.jp/e-Forum/2015/PDF/2015-070.pdf)

4. ウチヤマ地質工業の回答:他社が断る現場での案件

上記のような難しい条件であっても、ウチヤマ地質工業が多くのデベロッパーから指名され続けるのには、明確な3つの理由があります。

■機械を分解・組立する特殊技術

通常、トラックで運ぶような調査機械を、当社では細かく分解することができます。そして、熟練の技術を持った職人が人力で担いで狭い搬入路を運び入れ、現場で再構築することが可能です。クレーンが使えない場所、エレベーターのサイズが限られる場所であっても、物理的な制約に縛られることなく調査ポイントまで機械を運び込む技術を持っています。

■業界で貴重な「若手自社班」の機動力

機械を分解して手運びする作業は、大変な重労働です。しかし現在、地質調査業界全体で職人の高齢化が進んでおり、こうした過酷な搬入作業は避けられがちなのが現状です。

ウチヤマ地質工業では、若くて体力のある職人を自社で確保・育成しています。

ベトナム人エンジニアを含む若手チームは、機械の分解・運搬・組立という重労働を完遂できます。他社が「機械が入らない」「搬入が過酷すぎる」と断る現場であっても、私たちはこの若手の機動力で、着実・迅速に調査を完遂します。

■銀座などの大型JV案件の実績で選ばれる信頼

ウチヤマ地質工業の建物内でのボーリング調査の技術は、大手デベロッパーに選ばれ、継続的な取引にも繋がっています。

ウチヤマ地質工業の対応力は、銀座で行われた三協ビル様と住友商事様による大型共同開発プロジェクト(JV案件)で高く評価された実績があります。

調査会社選定の際、当初は複数の会社が候補に挙がりましたが、ウチヤマ地質工業は「既存建物内での調査が得意である」という強みをアピールし、その難条件をクリアできる技術力が最終的に高く評価されました。結果として住友商事様と直接契約を結び、プロジェクトを成功に導きました。この完遂実績がきっかけとなり、その後も継続的にご依頼をいただくパートナーへと発展しています。

5. まとめ:建物がある状態でも、調査は始められる

都心での開発プロジェクトが多数進められている現状では、解体が終わるまで待つよりもスケジュールを戦略的に前倒しにするメリットが大きいのは言うまでもありません。

「こんな狭い場所でボーリング調査ができる?」

 「建物に傷をつけずに調査できる?」

そのようなお悩みをお持ちのご担当者様から多くのご依頼をいただいています。

私たちの自社班が、現場の写真や図面から搬入の可否を迅速に判断し、最適なプランをご提案します。まずは、お気軽にお問い合わせください。