2024/01/01
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【孔内水平載荷試験】杭基礎設計を最適化する「オートLLT」とは?より精度の高い地盤データが得られる理由を解説
建築プロジェクトを安定して進めるために欠かせない「地盤調査」。その中心は標準貫入試験による N 値の取得ですが、マンションや大規模ビルの「杭基礎」を設計する段になると、それだけでは不十分なケースが出てきます。
「この地盤で、杭は本当にどれだけの横方向に耐えられるのか?」
「設計上の数値に、もっと確実な根拠を持たせられないか?」
こうしたニーズに応えるのが孔内水平載荷試験(LLT)です。
本記事では、「地盤の変形しにくさ」を直接測定するこの試験の仕組みから、ウチヤマ地質工業が誇る「オートLLT」による精度向上、そして難現場を攻略する独自の機動力まで、実務に役立つ情報を網羅して解説します。


それではまず孔内水平載荷試験について、基本的な仕組みとその必要性について解説します。
■孔内水平載荷試験(LLT)とは?
孔内水平載荷試験(一般的にLLTやプレッシャーメーター試験と呼ばれます)は、ボーリングで掘削した穴(孔)の中にゴム製のチューブ(載荷用パッカー)を挿入し、その中から水圧や気圧をかけて地盤を水平方向に押し広げる試験です。
簡単に言うと「地中の壁を内側から押してみて、どれくらい変形するか、いつ壊れるかを直接測る」という試験です。
■なぜ「水平方向」のデータが必要なのか
建築物の荷重を支える「鉛直方向(下向き)」の強さは、標準貫入試験の N 値でおおよそ把握できます。
しかし地震が発生した場合などは地面が揺れるとともに建物の基礎の一つである杭基礎も揺れることになります。杭は常に「横方向の力(水平力)」にさらされているのです。
その際に、杭は水平方向の強度によってその変形や応力が影響を受けます。周囲の地盤が杭をどれだけしっかりと支え返してくれるか(水平抵抗)が分からないと、杭が折れたり建物が大きく傾いたりするリスクがあるのです。
具体的に孔内水平載荷試験では次の2つの地盤特性がわかります。
| 水平地盤反力係数 | 杭が横に動こうとする力に対して、地盤がどれだけの抵抗力を示すかを示す係数です。これが分かれば、杭の頭部がどれくらい動くかを高精度に予測できます。 |
| 変形係数 | 地層そのものの「硬さ」や「しなりにくさ」を示す数値です。 N 値からの推定ではなく、実測値としての変形係数を得ることで、より現実的で安全な基礎設計が可能になります。 |
このようにLLTによって得られるデータは、杭の強さを計算する際の重要な根拠となります。
■標準貫入試験との違い
それでは、孔内水平載荷試験と標準貫入試験はどう違うのでしょうか。
ウチヤマ地質工業では、標準貫入試験を建設プロジェクトでは必須であり、デフォルトの試験と考えています。そして孔内水平載荷試験については、より高度な判断が必要な際に行われる精密検査のような位置づけで行っています。
(※設計者の意向や地質によって柱状改良や直接基礎で成立しそうな場合は不要なケースもあります。)
つまり、標準貫入試験(N値)だけでは分からない、より詳細な地盤情報を得るために実施されます。標準試験だけでは不十分な場合や、設計者から特定の地盤定数(変形係数など)を求められた場合に、オプション的に実施されることが多い試験です。
| 比較項目 | 標準貫入試験 (SPT) | 孔内水平載荷試験 (LLT) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 地盤の硬さ (N値)と層構成の把握 | 地盤の変形特性(水平方向)の把握 |
| サンプリング | 土のサンプル採取が可能 | 不可(測定のみ) |
| 主な目的 | 支持層の特定、基礎形式の選定 | 杭の太さ・長さの最適化、高度な構造計算 |
| 位置づけ | 基本・必須(コストパフォーマンス重視) | 特殊・精密(設計精度を向上させるオプション) |
| 設計への影響 | 対策孔の設計深度を決定する | 杭の仕様を「実測値」に基づいて絞り込む |

一般的な孔内水平載荷試験の手順は以下のように行われます。
【孔内水平載荷試験の手順】
1. ボーリング孔内の所定の深さに測定管(ゾンデ)を挿入します。測定管は、水を注入することで膨ら無効増になっています。
2. 測定管内のゴムチューブにガスや水で圧力を加え、孔壁を押し広げます。
3. 加えた「圧力」と、孔が広がった「変位量」の関係を測定し、地盤の硬さや係数を算出します。これにより、地盤に対する圧力がどの程度かかっているかを把握できます。
4.時間―荷重制御法によって載荷試験を行います。載荷後15、30、60秒などの間隔で試験を行い、時間依存の変化が見られない場合には次の荷重段階に移行します。
【得られるデータ】
孔内水平載荷試験では、孔壁に圧力をかけた際の「圧力」と「変位量(孔の広がり)」の関係から、主に以下のデータが算出されます。
• 地盤変形係数(E値):地盤の硬軟・締まり具合を表す指標で、荷重に対する沈下量や変形量を計算する際に用いる
• 地盤反力係数(k値): 構造物基礎の荷重に対し地盤が反発する強さ(変形しにくさ)を表す指標
• 降伏圧力・極限圧力: 地盤が破壊される強度の限界値。圧力-変位曲線において、比例関係が崩れ地盤が塑性化し始める圧力が降伏圧力、地盤が破壊へ向かい変形が限界に達する圧力が極限圧力。
【試験の注意点】
孔内水平載荷試験の際は、以下のようにさまざまな点に注意が必要です。
・孔壁面が乱れると試験結果に影響するため、削孔後直ちに試験を行うこと
・掘削水の圧力・水量を多くしないこと
・掘削孔の底部に溜まった土砂や泥水を取るスライム処理は短時間で行うこと
・コアチューブ・プローブの挿入引き上げはゆっくり行うこと
・孔内水の変動を少なくすること

ウチヤマ地質工業では孔内水平載荷試験を自動化した独自技術「オートLLT」を保持している点が他と大きく違う特徴です。
ここではウチヤマ地質工業独自の試験方法によるメリットをご紹介します。
■ 人的誤差を排除するデータの高精度化
手動の試験では、ポンプの操作や目盛りの読み取りにおいて、作業者による微細な誤差が生じる可能性がありました。 「オートLLT」は、コンピューターが一定のプログラムに基づいて自動で加圧・計測を行うため、誰が担当しても常に均一で高精度なデータが得られる点は大きなメリットです。これは1ミリの単位が重要になる構造計算において、非常に大きな信頼の根拠となるからです。
■ 職人の熟練度に依存しない「安定供給と効率化」
地質調査業界では技術者の高齢化が課題となっていますが、試験の自動化は、若手エンジニアでもトップクラスの精度で試験を完遂できることを意味します。ウチヤマ地質工業は、オートLLTを含めた最新機器の導入とスタッフへの徹底した教育を行っており、繁忙期であっても質の高いデータをスピーディーに提供できる体制を整えています。
■ 都心の難条件にも対応する「機動力」
LLTはボーリング調査とセットで行われます。そのため試験の実施可否は「機械が入るかどうか」に左右されます。 ウチヤマ地質工業は、「特注の小型ボーリングマシン」を分解し、人力で手運びして搬入するという独自の現場力を誇っており、以下のような難しい場所での試験も可能です。
このような場所でも、ボーリング調査、そしてオートLLTまで完遂できます。この機動力こそが、多くのデベロッパーや設計事務所からの信頼につながっています。

ウチヤマ地質工業の「オートLLT」は、最新の自動化技術と徹底したスタッフ教育により、より高精度に地盤強度を可視化します。
・高精度なデータで基礎設計を合理化したい
・工期が厳しく、調査と試験をスピーディーに完了させたい
・狭小地や特殊な現場で、質の高い試験を行いたい
このようなニーズを持つデベロッパーや設計者の皆様にとって、ウチヤマ地質工業は技術面から事業を支えるパートナーです。
