2024/01/01
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軟弱地盤における建築リスクとその対策「正確な支持層の把握」がプロジェクトの命運を分ける
都心の建設現場での軟弱地盤は決して珍しくありません。
しかし、その特性を正しく理解し、数値に基づいた適切な対策を講じなければ、建物は沈下や倒壊というリスクにつながります。
特に、限られた敷地で高層化・高密度化が求められる都心の再開発において、地盤データはプロジェクトの収益性と安全性を左右する命綱と言えるでしょう。
本記事では、軟弱地盤のメカニズムから、建物の安全とコスト最適化を両立する「正確な支持層の特定」の重要性まで、実務的な視点から徹底解説します。


「軟弱地盤」とは、一言で言えば「建築物の荷重を支える力が不足している地盤」のことです。主に粘土、砂、腐植土などが堆積した層から構成されており、特に都心の水辺に近い土地や埋立地などでは、水分を多く含んだ軟弱層が分布しているケースがあります。
ここで言う「地盤」とは、建物や構造物の基礎を支える部分を指します。特に、建物の安全性を支えるための工事の対象となる部分を指し、場所によって岩だけの地盤や土だけの地盤、盛土や切土などの人工地盤、人工的に補強された改良地盤などもあります。
また、地盤の質は土質によっても異なります。
「地盤」の土質は大きく分けると粘性土と砂質土の2種類があり、粘性土とは粘土分を主体とする粒子径75㎛以下の細粘土、砂質土は粒子径が2.0㎜以下で砂の割合が多い土質です。
(参照:https://www.swift2016.co.jp/column/214/)
一般的には、粘性土の方が地盤が弱く、砂質土は固く締まっていると考えられていますが、逆の場合もあり、一概には言えません。そういった地盤の性質によって、液状化や地すべり、地盤沈下などの災害が起こるリスクがあるため、対策が必要です。
地盤は建物の荷重をしっかり支えられる支持層と、荷重によって変形しやすい軟弱地盤に大きく分けられます。軟弱地盤の場合は、安定性が低いため建物を建てる際に地盤改良が必要となることもあります。
■地盤の強度を測るボーリング調査の「N値」
地盤の強さを客観的な指標となるものがボーリング調査で得られる「N値」です。ボーリング調査における標準貫入試験によって得られるN値は、地盤の硬軟を数値化します。
一般的に、N値=4以下の軟らかい粘性土地盤、またはN値=10以下の緩い砂質土地盤は、そのままでは建物を支えることが困難な「軟弱地盤」と定義されます。
N値が50以上の場合は、大型の建設物にも適した強固な地盤とされています。
N値のデータは設計の根拠となるもので、建設プロジェクトの初期段階で正確に測定することが求められます。

軟弱地盤に対して適切な対策を講じないままプロジェクトを進めることは、将来の建物の安全性にとって大きなリスクとなります。
地盤に関わるリスクは、主に以下の3点に集約されます。
① 即時沈下(圧縮沈下)
建設中から建物完成直後にかけて発生する急激な沈み込みです。基礎の支持力が不足している場合、建物の重さを支えきれず、構造全体が沈下します。砂質系地盤で起こりやすい地盤沈下です。
② 圧密沈下
数年から数十年かけて、地盤内部の水分が建物の荷重によって押し出されることで沈み続ける現象です。圧密沈下にはさまざまな原因がありますが、軟弱地盤対策を適切に施していないことも原因の一つです。
マンションなどで完成から数年後に「ドアが閉まらなくなる」「配管が傾斜により破損する」といった不具合を引き起こし、資産価値を大きく毀損させることがあります。
③ 地震時の不同沈下と倒壊
建物が均等に沈むのではなく、地盤の不均一性により「不ぞろいに沈下」するもので「不同沈下」と呼ばれます。建物が傾くことでドアや窓の開け閉めに支障が出たり、雨漏りが発生したり、あるいは耐震性が損なわれて地震の際に倒壊に至る可能性があります。
地盤調査にはこれらのリスクを排除し安全を担保することが求められます。

軟弱地盤を回避できない場合、適切な補強・改良工法を選択する必要があります。現在の建築現場では、以下の工法や対策が取られています。
近年、杭を打ち込むコストも上がってきています。そのため上記のような対策だけでなく確実に必要な場所を補強することはさらに重要性を増しています。安全面だけでなく、コストの側面からもより正確な調査結果が求められるようになっているのです。

軟弱地盤でのビルやマンションの建設においては、「地下何メートルの地点に杭を支えるべき強固な支持層があるのか」を特定する必要があります。
これがウチヤマ地質工業の地質調査(ボーリング調査)の目的です。
地質調査ではボーリング調査と標準貫入試験を行うことで、「どこまで軟弱地盤が続き、地下何メートルの地点からが支持層なのか」を正確なN値として導き出します。
ウチヤマ地質工業はこのデータを設計者に提供する役割を果たしています。つまり「どこまで杭を打てば安全か(支持層の特定)」を導き出すために必要なプロセスです。
掘削を行いながら所定の深さで「標準貫入試験」を実施します。これは、予備打ち15cmを行った後、30cm打ち込むのに何回叩いたかを「10cmごとに正確に記録する」試験です。これを繰り返し、「硬い層が連続して現れ、確実な支持層であると確認できるまで」妥協せずに掘り進めることで、深さと強さを正確に計ります。
外部の共有サイトのデータ(精度にばらつきがあるもの)に頼るだけでなく、自社で過去に調査した膨大で精度の高い「生の実績データ」を活用することで、実際の現場での見極めや、ズレのない正確なデータ提供に努めています。

正確な地盤調査データは、プロジェクトの成否に直結する3つの大きなメリットをもたらします。
① 支持層の最適深度の特定によるコスト削減
「地下何メートルまで杭を打つべきか」を正確に算出することで、杭の長さを最適化できます。もし調査が不正確であれば、必要以上に長い杭を打つことになり、過剰なコストが発生します。正確なデータは、このムダを排除し、プロジェクトの収益性を高めます。
② 設計変更リスクの低減
着工後に「想定以上に軟弱層が深かった」と発覚すれば、大幅な設計変更と工期遅延が発生し、数億円の損失リスクとなります。事前の正確なデータは、これらのリスクを未然に防ぐための最強の保険です。
③ 確実な安全担保と説明責任
「なぜこの設計にしたのか」という問いに対し、数値(N値)という客観的な根拠を示すことは、事業主としての説明責任を果たす上で不可欠です。数値に裏打ちされたデータは、施工後のトラブルに対する強力な防御策となります。

軟弱地盤は、決して建設不可能な土地ではありません。正確なデータを得て、適切な杭の深さと地盤対策を選択すれば、リスクは十分に制御可能です。
都心という限られた土地で、安全かつ無駄のない建築を実現するために、ウチヤマ地質工業は、精度の高い基礎データを通じて建設プロジェクトを足元から支え続けます。軟弱地盤であっても正確なデータを把握するためのパートナーとして当社にご依頼ください。正確な支持層の把握と最適な地盤対策をご提案いたします。
